
Alexis Guarnizo さんは、コロンビア南部 Huila 県の Tarqui(タルキ)という町で、家族とともにコーヒーを作っています。農園の名前は Los Lacres(ロス・ラクレス)。タルキ北西の El Triunfo という小さな集落にあり、標高はおよそ1,750mです。妻の Diana Gutiérrez さんと、Ladi さん(10歳)、Jhon Alexis さん(6歳)の二人の子供と暮らしながら、この2ヘクタールほどの畑に長く向き合ってきたそうです。
Alexis さんは、大きな家族のなかの一人です。兄弟8人と姉妹が1人、あわせて9人きょうだいで、それぞれがタルキ周辺で自分のコーヒー農園を営んでいます。家族はそれぞれの農園を別々に持ちながら、「グアルニーソ家」としてまとまって栽培や販売に取り組んでいます。長兄の Wilmar さんがまとめ役なのだそうです。
今回お届けするのは、Los Lacres の Pink Bourbon です。
Pink Bourbon は、赤くも黄色くもない、サーモンピンクの実をつける品種です。名前に「Bourbon」とありますが、これは名付けた生産者が「Red と Yellow の Bourbon が掛け合わさったものだろう」と考えて呼んだことに由来する呼び名で、近年の遺伝子解析では、実際にはブルボン系ではなくエチオピア由来の在来種の系統だと分かってきました。チェリーがピンク色になるのは、赤い色素の出方が中間的なためだと言われています。
この品種は、1980年代ごろに南ウイラの San Adolfo 周辺で見られるようになったと言われ、その後ウイラを中心に広がっていきました。 いまでは華やかでクリーンなカップで知られ、協議会などでも使われる品種です。

このコーヒーは、Fair Field Trading(フェアフィールド・トレーディング)という輸出パートナーを通じて届いています。ウイラ県のコーヒーに特化し、ウォッシュド(水洗式)だけを扱うという方針で知られる会社です。 創業は2002年、代表は Alejandro Renjifo さん。もともとコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)や国際コーヒー機関(ICO)でエコノミストを務めた人で、自身もサンアグスティンの上部に農園を持っています。
Fair Field は、日本のインポーター SYU・HA・RI とともに、Colombia Washed Coffee Festival(コロンビア・ウォッシュド・コーヒー・フェスティバル、以下 CWCF)というイベントを開いています。 農園がサンプルを出品し、選ばれたロットを何日もかけてブラインドで評価して、上位のロットにプレミアムを支払う——という仕組みです。派手なプロセスのコーヒーではなく、ウォッシュドという基本のかたちにあらためて光を当て直す、という発想から生まれたフェスティバルだと言われています。
私たち Fuglen も、2024年の CWCF では審査に加わりました。タルキのコーヒー生産者との縁は、そこから続いています。

タルキは、ウイラ県の中央から少し南に位置する町です。県都ネイバから南へ道路で約147km、コーヒーの町として知られるピタリートからは北へ50kmほどのところにあります。町の中心はマグダレナ川の左岸から2kmほど、標高はおよそ800m。そこから斜面を10数km登った先に、Alexis さんの1,750mの畑があります。谷底から農園まで、標高差はおよそ1,000mです。
畑の背後には、Serranía de las Minas(セラニア・デ・ラス・ミナス)という山塊が控えています。アンデスの中央山脈からマグダレナ谷へと下っていく支脈で、高いところは2,500〜2,700mほど。水源林や雲霧林として大切にされていて、2005年に地域自然公園(Parque Natural Regional)として保護区に指定されました。約29,000haのこの公園の区域には、タルキ自治体の一部も含まれています。
下のマグダレナ谷は暑く乾いた土地です。日中に温まった空気が斜面をゆっくり昇り、上の山塊からの涼しい空気と出会う——この寒暖の重なりが、チェリーの成熟をゆっくりにしていると言われています。ウイラは15年連続でコロンビア第1位の生産量を誇る県で、全国のおよそ2割のコーヒーがこの県で作られています。

Alexis さんは、この15年ほど、Los Lacres の畑に専念してきました。畑では Castillo、Caturra、そして今回の Pink Bourbon などを育てています。両親から受け継いだコロンビアの伝統的な栽培と精製のやり方をベースに、工程のひとつひとつに細かく手をかけているそうです。
2023年、Alexis さんは Fair Field のシングルオリジン・プログラムに参加し、363kgの Castillo を納品しました。このロットはプログラムの品質基準を満たし、CWCF の事前選考を通過しています。私たちがタルキのコーヒーを扱うようになった背景には、Fair Field と SYU・HA・RI との付き合いがあります。コロンビアからは、これまでも Astrid Medina さん(Tolima)や、CWCF で出会った Carina Andrea Claros さん(Tarqui)のコーヒーを、この Fair Field を通じてお届けしてきました。2024年の CWCF では、私たち自身が審査の場に立ち会っています。
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