シングルオリジン(単一農園・単一品種という意味での)とは違うブレンドの面白さは何か、と考えると、飲むたびにコロコロと表情を変えるところかな、と思います。
lotの中での内訳は決まっているものの、その時飲むコーヒーに、どの品種がどのくらい含まれているかは想像することしかできず、そして毎回異なります。そのためその時々で個性を強く出す品種もあれば、逆もまた然り。『この味はどの品種由来なのだろう・・?』と想像を膨らませながら飲むのがブレンドの面白さなのかなと、普段あまりブレンドを飲まないながらも考えています。
実験的な品種栽培の狙いは、さまざまな品種のホンジュラス地域への適正を見るためだそうです。コーヒーは土地や気候などの環境はもちろん、品種によってツリーに必要なケアが異なります。Moisesはカップクオリティだけでなく、栽培のしやすさや、労働力などのコスト面とカップクオリティのバランスを観察していて、より負担なく栽培する方法を模索しています。
中米ではより高い賃金を求めてアメリカへの移民が増えており、収穫時にチェリーを摘むピッカーの確保や、ミルでのスタッフの確保が潜在的な課題となっています。そういう課題を見越して、実験的な品種の栽培やミルのオートメーション化など、問題が顕在化する前に様々な取り組みが始まっています。
MarysabelとMoisesがともに農園を始めてから今年で30年になるそうです。30年たった今も二人の目線は未来の農園の様子を見つめています。
彼らの農園や設備を訪問した際、標高の異なる複数の区画を巡りながら、二人が日々向き合っているコーヒー栽培の現場を目の当たりにしました。森の中に昔からあったかのような佇まいの農園を歩きながら、Moisesが語ってくれたのは「土地を元の姿に戻すこと」という哲学でした。多様な植物や動物が暮らす森は傷ついても自力で回復する。でもコーヒーだけが植えられた土地は、循環がないから自分の力では回復できない。だからこそ農園を囲む生態系を整え、自然な形に戻していく取り組みに力を入れているのだと話してくれました。
収穫時に使う二重バッグシステムも印象的でした。ピッカーたちは2つのバッグを持ち、一つは完熟したチェリー専用、もう一つは過熟や未熟なチェリー用。完熟したチェリーだけを選ぶ技術に対して、平均以上の賃金を支払っています。精製施設も塵ひとつないほど清潔に保たれており、1日の作業が終わると必ず全ての設備が清掃されます。奇をてらった発酵や特別な設備ではなく、基本に忠実な丁寧な作業こそが高品質なコーヒーを生み出している。その徹底ぶりに深く感銘を受けました。
焙煎所に届いた麻袋を開けると、いつもコーヒーの粒が揃っていることに驚かされます。初めてEl Pantanalの袋を開けた時も、焙煎する前からこんなに綺麗な状態なのかと感動したことを鮮明に覚えています。収穫から精製、選別まで、全ての工程が高いレベルで管理されている証です。
同じMarcala地域で育ちながら、それぞれ違う区画にあって、品種も異なることから、3つの味わいは大きく個性を持っています。でもどこか共通するトーンがある。それはこの土地のテロワールと、二人の丁寧なコーヒー作りによるものなのでしょう。
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